次代のものづくりを知る 2014年12月12日

チャレンジ・スピリットで挑むコンバージョンEV事業

ハイブリッド車以上にエコで、電気自動車よりもリーズナブル。
コンバージョンEVが切り拓くクルマの未来

新明工業株式会社
車両特装事業部 部長 村瀬浩一さん

 

【エコ・ドライブの新たな原動力として注目の的】

豊田市に本社を置く新明工業は、物流・生産システムの設計、製作、自動車の整備やレストア、特装を手がける会社。教習車や通園バスなど、大小さまざまな“はたらくクルマ”をつくっています。

そんな当社が新たな試みとして2011年にスタートさせたのが、コンバージョンEV事業。コンバージョンEVとは、既存のガソリン車のエンジンをモーターとバッテリーに積み替えてつくる改造電気自動車のこと。環境への意識が高まり、クルマの主流がプラグインハイブリッド車や電気自動車という新たな方向へシフトする中、注目されている手法です。

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【車両整備の技術を生かし、商用車に特化してEV化】

きっかけは、2007年に起きたリーマン・ショック。急激な景気後退や円高などにより、当社の輸出車両への用品取り付けの需要はそれまでの1/10に落ち込みました。危機感が高まる中で「自社の技術や設備を生かせる新たな分野への進出を」と、若手社員らがプロジェクトチームを立ち上げ、コンバージョンEVの開発に乗り出したのです。とはいえ、EV化事業はすでに多くの企業が参入していたため、当社はトヨタの「プロボックス・バン」という車種に着目しました。「プロボックス・バン」は多くの地元企業が商用車として所有しており、潜在的なニーズが掘り起こせるのではないかと考えたからです。また、限られたエリアでの移動を主体とする商用車であれば、ガス欠ならぬ充電切れの心配が少なくて済み、航続距離の問題を解決できるというのもポイントでした。

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【コンバージョンEVは21世紀型のモノづくり】

当社のコンバージョンEVの特徴は、元の車両の機能や部品をなるべく活用すること。これにより、改造にともなう廃材を減らせるだけでなく、コストも抑えることができます。改良に改良を重ねた今では、想定する走行距離に応じて鉛蓄電池かリチウム電池を選択できるほか、車体の上に発電用の太陽電池モジュールを搭載するといったことも実現可能になりました。

既存の事業資源を組み合わせ、お客様のニーズに合わせてエコなカスタマイズをしていくコンバージョンEVは、次代のモノづくりの形といえるのではないでしょうか。

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【クルマと生きる企業として“サスティナブル”な社会の実現をめざす】

コンバージョンEVの開発に取り組む過程で、社内では環境問題を見直す気運が高まりました。ごみの減量や節電、エコ運転を社員一人ひとりがより積極的に心がけるようになったほか、2012年には前田工場の屋根と壁面などに計315kwの太陽光パネルを設置。さらに、スマート充電器や超小型EV車「COMS(コムス)」、省エネ照明器具も導入するなど、さまざまなエコ活動を行っています。

当社が目指すのは、「持続可能」という意味を持つ「サスティナブル」をキーワードに、将来にわたって環境貢献と事業発展の両立を実現できる企業。今、国内には約7500万台の自動車がありますが、環境対応車の割合はわずか2%強です(※社団法人日本自動車工業会 環境レポート2012より)。二酸化炭素排出量を削減するためには、いかに既存車両をEV化するかにかかっているといっても過言ではありません。私たちは自動車産業の街、豊田市におけるコンバージョンEV業界の先駆者として、技術力をアピールするとともに、普及に向けた啓発活動にも力を注いでいく考えです。「エコだから」という理由で選ばれるサービスからさらに進んで、「愛車にずっと乗り続けたいから、選んだ結果がコンバージョンEVだった」と言われるようになるのが目標ですね。

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問い合わせ
新明工業株式会社
豊田市前田町3丁目20番地
TEL0565-34-0701
http://www.shinmei.co.jp

 

取材日:2013年4月